税金対策

【2023年度版】空き家問題について/所有者のリスクと対処法

1.空き家問題とは? 

住居として使用されている建物が長期間にわたって空き家となり、その数が増加する現象を指します。この問題は、さまざまな社会的、経済的、環境的な影響をもたらすことがあります。

具体的な問題点としては、以下のようなものが挙げられます。

1.1 社会的な問題点

空き家は、犯罪の温床となることがあります。また、周辺住民に不安感を与えたり、地域の荒廃化を招いたりすることがあります。

1.2 経済的な問題点

空き家は、犯罪の温床となることがあります。また、周辺住民に不安感を与えたり、地域の荒廃化を招いたりすることがあります。

1.3 環境的な問題点

空き家は、建物の老朽化や劣化を招き、周辺環境に悪影響を与えることがあります。また、放置されたままの空き家は、害虫や野生動物の生息場所となることがあります。

2. 空き家の現状と推移について

では、どれぐらい空き家が増えているのでしょうか? 総務省統計局から公表されている「平成30年住宅・土地統計調査」を元に空き家の状況を紹介します。

(出所)総務省「平成30年住宅・土地統計調査」

結論から言うと、空き家数及び空き家率は年々増加傾向にあります。

2018年における空き家の戸数は849万戸あり、全住宅のうち13.6%を占めています。

2.1空き家の種類と種類別推移

空き家の種類は大きく下記4つに分類されます

  • 賃貸住宅:新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅
  • 売却用:新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅
  • 二次的住宅:別荘や残業で遅くなったときに寝泊まりするなど、たまに寝泊まりしている人がいる住宅
  • その他の住宅:上記以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など

※出典:総務省統計局「平成 30 年住宅・土地統計調査 P2」より

空き家のうち、約50%がアパート等の賃貸住宅の空き家。

空き家問題で問題とされるのは「その他の住宅」が増えているという点になります。

売却するのでもなく、貸すのでもなく、ただ放置されているだけの空き家が全体の約40%を占め、しかもその割合は増加傾向にあるのです。

私の近所にも家主が不在で、放置され続ける空き家がいくつかあるわ。

3.空き家所有者のリスクについて

社会的にも環境的にも周囲に影響のある空き家は、所有者自身にはどのようなリスクがあるでしょうか?

1.取り壊しのリスク
2.工作物責任リスク
3.建物価値下落リスク

上記の3つのリスクについてもうすこし説明してみます。

3.1.取り壊しのリスクについて

平成26年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法(略して空家対策特別措置法)」が成立しました。この後詳細は記載しますが、ざっくり言うと、放置された空き家に対して国からお達しがくると言うモノです。

こちらの措置法によって、お達しを無視し続けると、行政処分として強制的に建物は取り壊され、さらに解体費用は所有者に請求が発生します!!

さらに解体費用が支払えない場合は、その土地を勝手に売却されるケースがあります。

「(特定空家等に対する措置) 第十四条」
市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。
※「空家等対策の推進に関する特別措置法」 より引用
では、空き家の解体費用は一体どのくらい請求されるのでしょうか?

もし解体費用を請求されるとしたらいくら位なんだ?

 

空き家の解体費用は建物の構造や、面積によって様々となります。

一般的に空き家に多い、木造戸建(坪数30程度)で120万〜180万の解体費用となります!

3.2.工作物責任リスクについて

空き家の管理ができていないことにより、周辺住民に被害を及ぼした場合には、所有者は責任を負わなければなりません。

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない

※民法第717条より引用

ここでいう瑕疵とは通常備えているべき性質や設備を欠いていることを指します。

安全性に問題あるような状態のことです。占有者とは例えばその家に賃貸で住んでいる人を指します。ここでは空家ですので占有者はいません。したがって所有者に全責任がいくことになります。

この所有者の責任はいわゆる「無過失責任」です。所有者に過失がないことを証明しても所有者として責任を負わないといけないのです。無過失でも責任を取らなければならいないため、近隣から苦情があってもそれを放置していたとか、瓦が飛ばないようにブルーシートをかぶせていたとかいう場合も、当然責任を負うことになります。

火災などの場合は最大で数千万〜億という金額の請求が発生する可能性があります。

3.3.建物価値下落のリスクについて

家は住む人がいなければ、換気や修繕などが行われず急速に老朽化が進みます。
老朽化が進んでしまうと資産価値が大幅に下がってしまうため、とても安い価格で売却しなければならなかったり、解体してしまうしか方法がなくなってしまいます。

一度荒れてしまった家屋は、大規模な修繕を行わない限り元に戻すことは困難であり、解体するにも莫大なコストが必要となってしまいます。

例えば築20年の家であっても、人が住み続けた20年と、空き家のまま放置した20年とでは、同じ20年でも確実に放置物件のほうが資産価値は下がります。

まとめ

今回はまず、「空き家問題」というものが何か?日本における空き家の現状とリスクを説明しました。

まとめると下記となります。

  1. 空き家問題とは、「社会的な問題」「経済的な問題」「環境的な問題」のことであり周辺に影響を及ぼす可能性が高い
  2. 日本における空き家の現状としては、空き家数及び空き家率は年々増加傾向にある
  3. 空き家を所有するリスクとしては、「取り壊しリスク」「工作物責任リスク」「建物価値下落リスク」があります。

空き家を所有して、放置を続けている所有者の方へのリスクを中心に説明させていただきました。

上記を参考に空き家放置によるリスクを十分理解し、売却や買取も視野にいれて早急に手放すようにしてください。

-税金対策